足のトラブル(代表的なトラブル)
外反母趾
外反母趾とは図のように母趾が曲がることをいいいます。
中足趾節関節の外側の関節包が圧迫され、炎症を起こすこともあります。
足の横アーチの低下、足首の回内が外反母趾の原因になることが観察されて います。幅の狭い靴の使用が最大の外的な要因です。足趾のアライメント異常は遺伝の影響もあることが観察されています。
足に上記の特徴がみられる場合、インソール(靴の中敷)と個人に合わせたストレッチなどのエクササイズで外反母趾を予防することができます。
すでに外反母趾が進行している場合、インソールの使用は痛みを和らげたり、解消する効果があります。足の歪みが顕著な場合は、手術が必要な場合もあります。
足底筋膜炎
足底筋膜は踵骨から起き、足指につな がる腱に停止します。
足底筋膜炎は足底筋膜が引っ張られたり、強打されることなどによって起こる炎症です。
炎症は筋膜と骨の接点である踵の下部に起こることが多く 足首の過度の回内、足底の内側縦アーチの低下が痛みの原因になることもあります。
硬直した腓腹筋(ふくらはぎの筋肉)も原因になります。
レントゲン写真を撮った場合、筋膜の接点に骨棘 がみられることがあります。骨棘は炎症の結果として起こります。
インソール(靴の中敷)の使用は足の歪みを矯正し、足底筋膜の痛みの解消に効果があります。
治療は足底筋膜と腓腹筋のストレッチ、足底にかかる負担の減少を行います。痛みに関しては電流や超音波を使った理学療法、コルチゾン注射、炎症の繰り返しを断ち切るための抗炎症薬などの併用も考え られます。
シンスプリント
過労性脛部痛(シンスプリント)の診断は解釈によって多少異ります。
一般的に頸骨の内側または外側に生じる痛みのことをいいます。
痛みは筋肉にかかる圧力・張力が原因 で筋肉と骨の接点に生じます。
初期には筋肉の過度の疲労によって新陳代謝、血流が低下します。これによって筋肉とこれに隣接する組織に痛みが生じます。
疲労が長期間続くと、筋肉と骨の間の骨膜に炎症が生じ、骨の外側面の内側 または外側に強い痛みを感じるようになります。
内側の痛みは、ふくらはぎ後部の筋肉の過労、外側の痛みは前側コンパートメントの筋肉の疲労が原因になることが多く、 治療を行わず放 置すると、疲労骨折につな がる場合があります。
歩行時の不良アライメントで、筋肉が過度に引っ張られることが痛みの背景によくみられます。典型的なシンスプリントの原因は足首の過度の回内です。インソールの使用は足のアライメントを改善し、これによって筋肉にかかる張力を軽減し 、痛みを解消する効果があります。
モートン神経腫
中足骨の間には足趾の感覚を司る神経が走っています。 足底の横アーチの低下や窮屈な靴の使用などによって、中足骨が神経を圧迫することがあります。
圧迫された神経は炎症と腫れを起こし、これが原因で中足に痛みが発生します。
神経腫は最も典型的に第3と第4中足骨の間に起こります。
理学療法では、神経腫の痛みを軽減を図ります。横アーチの低下はインソールを使用して簡単に改善できます。足の姿勢を矯正することでも痛みが軽減します。炎症を起こした神経には可動性に問題があることも多く、これはモビリゼーション(関節などを緩和させる操作)で改善します。
足趾の変形
クロウトゥ
中足趾節関節が伸び、中節骨と末節骨 、中節骨と基節骨の間の関節が曲がった状態にある足趾で、足指の先端の皮膚が厚化します。爪の辺りの皮膚も厚くなったり、足趾のかたちが角ばったりす
ることもよくあります。
ハンマートゥ
中足趾節関節と中節骨と末節骨の間の関節が伸び、中節骨と基節骨の間の関節が曲がった状態にある足趾。このような指は靴にうまく収まらず、結果として皮膚の厚化、硬化が起こります。
典型的には母趾球の下の脂肪層が前方に移動し、緩衝ができなくなるため、母趾球の辺りにも痛みが起こります。
マレットトゥ
中足趾節関節と中節骨と基節骨の間の関節は正常な状態で、中節骨と末節骨 の間の関節が顕著に曲がった状態にある足趾。爪の辺りの皮膚が厚くなった り、足趾のかたちが角ばったりする症状がみられます。小さすぎる靴の使用によって、他よりも長い足趾が押し曲げられることが原因になることもあります。
足趾の変形はつま先の不均衡や回内する傾向の強い足首がよくある原因です 。バランスをよくしようと、足趾は地 面や床などをつかもうとする動きをします。これが長期続くと足指に変形が起こり始めます。
インソールの使用は足首を正しい姿勢に矯正し、足趾の無駄な動きを解消する効果があります。足趾の関節の動きが自由になるまで正しい動きを練習するトレーニングをする事が重要です。足趾の変形 がみられる場合は、自宅で、またはフットケアに定期的に通ってケアをすることも大切です。
回内は足首が内転する運動のことをいいます。歩行中、体重が足に移動する時、足首に回内が起こります。これは身体全体の緩衝機能の一部ですが、回内が必要以上に大きい場合、筋肉、腱 、骨の構造に障害がでたり、痛みが生じたりすることがあります。過度の回内自体は疾患でも障害でもありません が、様々な障害の原因になります。
過度の回内は足首の内転を抑えるインソールによって矯正し、これによって下肢全体を正しく動ける方向に向かわせることができます。主な治療は指導のもとでのつま先部と必要な筋肉のストレッチなどのトレーニングです。
硬直した足首は回内傾向の足首の逆です。 このような足首では体重移動の際に弾力を生む回内が起こらず、足首はいわゆる中間位にとどまったり、回内の反対、回外の姿勢になることもあります。この状態の足首では緩衝機能が果たせず、回内傾向の足首よりも様々なけがや障害をおこしやすくなります。
足首の硬直も回内傾向の足首と同じように疾患でも障害でありませんが、様々な障害の原因になります。硬直した足首には足を回内の方向に向かわせる インソールを使用します。主な治療はモビリゼーション(関節の可動性を増すためのトレーニング)です。